Top > 技術情報メモ 目次 2012.8.3      
  ★  標準時刻  ・・・ 時間の定義 (JST、UT、UTC、GPS時刻、うるう秒)、時間の歴史
  ★  時刻・周波数標準機器  ・・・ 発振器の比較、標準信号の伝送 (HF、LF、LORAN-C、GPS)
        ★  水晶発振器  ・・・ 超高安定水晶発振器の歴史
        ★  原子周波数標準器  ・・・ 歴史、原子時計の比較、ルビジウム原子周波数標準、セシウム原子周波数標準、
   水素メーザ周波数標準、これからの原子時計 
  ★  評価方法、 評価例  ・・・ 安定度と確度、アラン分散
直線上に配置  時刻周波数標準 直線上に配置
(参考外部リンク: 「An Introduction to Frequency Calibrations (Appendix A from the Operator's manual
            (NISTIR 6610, August 2001), a tutorial on frequency calibrations)」 NIST )
発振器の比較
発振器の種別 水晶
(TCXO)
水晶
(OCXO)
ルビジウム
(Rubidium)
セシウム
(Cesium)
水素メーザー
(Hydrogen Maser)
  一次標準となりうるか × × × ×
  有効寿命品 なし ルビジウムランプ
(15年以上)
セシウムビームチューブ
(3〜25年)
水素の消耗
(7年以上)
  固有周波数 寸法による(可変) 6.834682608GHz 9.19263177GHz 1.42040575GHz
  安定度  σy(τ)、τ=1秒 1X10-9 1X10-12 5X10-11
〜5X10-12
5X10-11
〜5X10-12
1X10-12
  ノイズフロア  σy(τ) 1X10-9
(τ=1〜102)
1X10-10
(τ=1〜102)
1X10-12
(τ=103〜105)
1X10-14
(τ=105〜107)
1X10-15
(τ=103〜105)
  エージング/年 1X10-7 1X10-9 1X10-10 ------ 〜1X10-13
  ウォームアップ後の
          周波数オフセット 
1X10-6 5X10-8
〜5X10-10
5X10-10
〜5X10-12
5X10-12
〜5X10-14
5X10-12
〜5X10-13
  ウォームアップに要する時間     <10秒 to 1X10-6      <5分 to 1X10-8       <5分 to 1X10-10     <30分 to 5X10-12     <24時間 to 1X10-12   
  価格 1万円 20万円 30万〜80万円 300万円〜800万円 2000万〜3000万円
  製品ページへ 製品 製品 製品    
技術情報メモ: ・  高安定水晶発振器の歴史   ・  原子周波数標準器   ・  各種周波数標準装置の安定度比較 


標準信号の伝送 ・・・ 伝送される標準信号を受信することにより得られる精度 
    出典:「The Science of Time keeping」 Agilent Application note 2000 : 5965-7984E.pdf        
方式 周波数 時刻精度 周波数不確定性    製品ページへ
VLF放送(オメガ航法システム) 10-13 kHz      10 ms
 10-11   24時間受信(平均)後 
運用停止  
HF放送(JJY、WWV、WWVH) HF 1 - 10 ms
 10-6 - 10-8   24時間受信(平均)後 
運用停止  
電話線    1 - 10 ms
 10-8   24時間受信(平均)後 
   
LF放送(JJY、WWVB) 40 - 80 kHz        1 ms
 10-10 - 10-11  
  製品
LF放送(LORANーC) 100 kHz       1 μs
 10-12
  製品
テレビ放送 V.UHF         10 ns
 10-12 - 10-13   24時間受信(平均)後 
2011.7 終了 製品
光ケーブル(2000km)    100 ns
 10-16 - 10-17   24時間受信(平均)後 
   
 航法衛星(GPS,GLONASS) One-Way  
 20 - 500 ns
 10-9 - 10-13  
  製品
 航法衛星(GPS,GLONASS)  Single-Channel-Common-View 
≒ 10 ns
  ≒ 10-13   24時間受信(平均)後 
   
 航法衛星(GPS,GLONASS) Multi-Channel-Common-View  
< 5 ns
  ≒ 10-14   24時間受信(平均)後 
   
マイクロ回線   1 - 10 ns
 10-14 - 10-15  
   
同軸ケーブル    1 - 10 ns
 10-14 - 10-15  
   
 航法衛星(GPS,GLONASS)  Carrier-Phase-Common-View 
< 500 ps
  ≒ 10-15   24時間受信(平均)後 
   
光ケーブル(50km以下)    10 - 50 ps
 10-16 - 10-17  
   
HF受信機
     ・WWV、WWVH ( 日本ではJJY(5、8、10MHz) ・・・ すでに2001.3.31に運用停止した )
・2.5、5、10、15、20MHz等の短波による標準信号の放送
・短波は電離層での反射があるため昼・夜で受信状態が変わる等の不確定性があり精度が上げられない
LF受信機           参考外部リンク:長波標準電波JJY (情報通信研究機構(NICT)
     WWVB (日本では新JJY(福島局、周波数:40 kHz、九州局、周波数:60 kHz)が運用中
・30kHz〜300kHzの超長波(VLF)による標準信号の放送
・短波の放送に代わって各国で放送されている
・長波は電離層反射波ではなく地上波(groundwave)が長距離まで届き、短波より安定性がある
        ・秋月の受信機キット-福島局の電波を受信します
呼 出 符 号 JJY(標準周波数局)
送 信 所 おおたかどや山標準電波送信所
(福島県田村市都路町)
はがね山標準電波送信所
(佐賀県佐賀市富士町)
緯度 / 経度 37°22´ N / 140°51´ E 33°28´ N / 130°11´ E
アンテナ型式 傘型250m高 傘型200m高
空中線電力 50kW (実効輻射電力10kW)
電 波 型 式 A1B
運 用 時 間 常時
標準周波数 搬送波 40 kHz 60 kHz
変調波 1 Hz (秒信号)
変調波の振幅 最大100%,最小10% (呼出符号送信時を除く)
標 準 時 JST: 協定世界時(UTC)を9時間進めたもの
秒信号の送信時間 常 時
周波数と時間間隔の正確さ ± 1 × 10-12
秒信号の形式 0.2 , 0.5 , 0.8 秒のマーク
DUT1信号 な し
備 考 1999(平成11年)6.10 開局 2001(平成13年)10.01 開局
   2010年現在、この信号を利用した電波時計が安価で広く普及している   
ロランC(LORAN-C)        技術情報メモ: 電波航法システムの比較 LORAN-Cの仕様、信号波形 
     ・LFバンドを使用した船舶用無線航行システム (LORAN : LOng RAnge Navigation)
・ロランCはチェーン(chain)と呼ばれる複数の送信局を1つのグループとしたシステムで構成される
・各チェーンは1つの主局と2から5局の従局からなる
・米国ではU.S.Department of Transportation(DOT)が、日本では海上保安庁 交通部が管理・運用を担当
・伊豆諸島の新島(主局)、沖縄の慶佐次(W従局)、南海の孤島南鳥島(X従局)および北海道の十勝太(Y従局)の4局
・カバー範囲は地上波が十分強い地上波送信局から1500km程度以内
・電波伝搬の影響から短期安定度は良くないが、24時間平均を取る等の方法によれば長期安定度は良い

 ・北西太平洋チェーン North West Pacific Chain GRI:8930

lolanc1.jpg (32269 バイト) 周波数 空中線電力 都道府県 経度 経度   コーディングディレー/
局間遅延時間μs
100  
kHz
1500kW 沖縄県
Gesashi 慶佐次
128E09 26N36 従局(W) 11000/4580.86
1500kW 北海道
Tokatibuto 十勝太
143E43 42N44 従局(Y) 50000/3349.53
1600kW 東京都
Niijima 新島
139E16 34N23 主局(M)    
1800kW 東京都
Minamitorishima 南鳥島
(2009.12.1 廃局)
153E59 24N16 従局(X) 30000/6051.53
150kW Pohang
(ROK)韓国ポーハン
E129o20'27.440" N36o11'05.450"
従局(Z) 70000/3085.64
 ・韓国チェーン    Korean Chain   GRI:9930
 ・ロシアチェーン   Russia Chain    GRI:7950  (調整用電波発射中)

 ・中国北海チェーン China North Sea Chain GRI:7430
 ・中国東海チェーン China East Sea Chain GRI:8390
 ・中国南海チェーン China South Sea Chain GRI:6780        「海上保安庁 交通部」HPより

GPS(Global Positionng Syatem)システム    技術情報メモ: GPSの概要電波航法システムの比較
     ・無線航行システムの一種
・米軍(U.S.Department of Defence:DOD)により開発運用されている
・地球を周回している約24機のGPS衛星により構成
・各衛星はセシウムまたはルビジウム原子時計を複数搭載
・この原子時計の時刻はUnited States Naval Observatory:USNOにより管理され、NISTとトレーサビリティがある
・24機の衛星はそれぞれ軌道傾斜角55°の6つの軌道面を周回
 高度は20200km、周期は11時間58分、毎日4分ずつ早く同じ地点を通過する
・L1(1575.42MHz)とL2(1227.6MHz)の2周波数で、C/A(coarse acquisition)コードとPコードの2種類を送信している
・一般のGPS受信機ではL1で送信されるC/Aコードが利用されている
・相互協定により、UTC(USNO)とUTC(NIST)とのGPS時刻の
      タイミング誤差は100ns以下に、周波数オフセットは1x10-13未満に保持されている
GPS受信機
     ・一般的に1pps(1秒パルス)信号の出力機能をもち、さらに1,5,10MHz等の標準信号の出力機能をもつ
・電源が入れられると地平線より上の可視衛星をサーチ発見追尾する
・衛星からの信号を元に、受信アンテナのおかれている場所の3次元の位置座標を計算する
・初期の受信機は同時に1つの衛星しか追尾出来なかったが、現在では5〜12衛星を同時に捕捉出来るようになっている
・長期安定度は大変良いが、短期安定度はそれほど良くはない

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