Top > 技術情報メモ 目次 2012.8.3      
  ★  標準時刻  ・・・ 時間の定義 (JST、UT、UTC、GPS時刻、うるう秒)、時間の歴史
  ★  時刻・周波数標準機器  ・・・ 発振器の比較、標準信号の伝送 (HF、LF、LORAN-C、GPS)
        ★  水晶発振器  ・・・ 超高安定水晶発振器の歴史
        ★  原子周波数標準器  ・・・ 歴史、原子時計の比較、ルビジウム原子周波数標準、セシウム原子周波数標準、
   水素メーザ周波数標準、これからの原子時計 
  ★  評価方法、 評価例  ・・・ 安定度と確度、アラン分散
直線上に配置  時間の定義 直線上に配置
各種時間の相違 (2009年3月の時点において)
  ・日本標準時 (JST)           ・・・ 09:00:00           UTC + 9 時間     
  ・協定世界時 (UTC) ・・・ 00:00:00        
  ・国際原子時 (TAI) ・・・ 00:00:32           UTC + 34 秒
  ・GPS時刻 ・・・ 00:00:13           UTC + 15 秒
 日本標準時 (JST)  
     日本の時間の定義 ・・・ 参考外部リンク: セイコーインスツル株式会社ときをまなぼう
 世界時(UT) ・・・ 地球の自転に基づいて決められる時刻系  
    
  UT0    恒星や月の継続観測により決められる地球の自転に基づいた世界時
 地球の極運動(約435日周期)により地球上の任意の位置は数メートルのずれを生じるため、異なる天文台で同じ瞬時に求めたUT1は異なる
UT1  地球の極運動による経度変化に相当する時間補正を加えたもの。
 そうするとどこで観測しても一定の時刻が得られる。
 地球の自転速度は一定でないため1日あたり±3m秒程度の不確定性を持つ
UT2  地球の自転速度が季節によって変動しているため、UT1は季節によってかなり変動する。
 そこでこの補正項Δs を加えて、年間を通して平滑化された時刻体系を得る。これをUT2という。

 UT2は現在ではほとんど使用されていない。
 協定世界時(UTC)
     国際原始時(TAI)をもとに、世界時(UT1)との差が0.9秒以内となるよううるう秒を挿入して、国際協定により維持されている世界標準時
    天文計算に使われる時間:
 ・暦表時   暦表時(ET=Ephemeris Time)は、太陽・月・惑星など天体の観測を元に求められた純理論的、純力学的な時間を表す方法。
 ・力学時  力学時(DT=Dynamical Time)
        
 地球力学時(TDT)、地球時(TT)
 太陽系力学時(TDB)太陽系座標時(TCB)地心座標時(TCG)
 GPS時刻       (参考外部リンク:エコー計測器)
UTCの1980年1月6日(日曜日)の00:00:00を00:00:00としてスタートさせたUTCと同じ長さの1秒を刻む時系
GPSは開始以来UTCでは挿入されてきたうるう秒を挿入していないため、2005年時点でUTCと13秒のずれがある
GPS時刻はGPS衛星から航法メッセージの一部として送信されており、
       (1) 週番号  GPS時刻がスタートしてからの通算の経過週 ・・・ 10ビットで表現
 (2) 週内番号:  日曜日を 0 とし、土曜日の 23:59:59 までの経過秒数の2つに分けて2進数で送信されている。    
  GPS受信機でのUTC表示 ・・・ 航法メッセージの中にUTCとのズレを示す値が有る。
   閏秒についても、実施予定が航法メッセージにより報知される。
GPS時刻のロールオーバー・・・ 10ビットの週番号が0に戻ること ・・・ 約19.7年毎

 うるう秒                 (参考外部リンク:NICT日本標準時グループ)                                              
 地球の自転は月による潮汐力の影響を受け、長期的に遅れる傾向にある。
 現在、1日に約1.7msずつ遅くなっているる。(約161年経つと1日が1秒長い)
 このため地球の自転に基づくUTと原子時TAIはずれていく
    両者の乖離が±0.9秒以内に収まるように「うるう秒調整」したものがUTC
 1820年頃の自転周期が基準となっているためうるう秒の挿入頻度は頻繁になってきている 
(参考外部リンク: 国際原子時・協定世界時とうるう秒 NICT)          
 うるう秒調整  2009年までにうるう秒調整は、24回行われ、UTCTAIより34秒遅れている

 時間の歴史           (参考外部リンク:情報通信研究機構(NICT)ホームページ)
年代 基準 概要
 18世紀 地球の自転
(1日)
 太陽の南中する(子午線を横切る)時間を時刻の基準としていた
 1880年  グリニッジ天文台の時刻をイギリスの標準時とする(GMT
 1884年  「万国子午線会議」 が米国ワシントンで開催される
   ・グリニッジ子午線を基準とした平均太陽日を元に世界の時刻と定義
   [ 1秒 = 平均太陽日÷86,400 ]  (地球の自転を基準とした)
      平均太陽時 ・・・ 赤道面上を一定の速さで回る仮想の天体(太陽)をもとにした時刻
      視太陽時  ・・・ 地球の公転軌道が楕円であること、地球の自転軸が傾いていることにより季節変動がある。
 1929年  IAU (国際天文学連合) が GMT を新しい呼称の UT に変えた (午前0時に1日が始まる)
 1960年 地球の公転
(1年)
 第11回 CGMP (国際度量衡総会) にて国際単位系(SI)が定められた
   ・SI基本単位・・・メートル、キログラム、秒、アンペア、ケルビン、カンデラ、モル

    [ 1秒 = 暦表時の1900年1月0日12時に対する太陽年の1/31 556 925.974 7 倍 ]
     自転速度よりも変動が少ない地球の公転を基にした暦表時(ET)が採用された
                                     ・・・ 1年の長さが一定ではないということになった
            ( @潮汐摩擦による地球の自転の減速  Aチャンドラー揺動 ・・・ 地球の極の揺動 )
 1967
   -1968年
原子時計  第13回 CGMP 
[ 1秒 = セシウム133の原子の基底状態の二つの超微細構造準位の間の遷移に        
                                     対応する放射の周期の 9 192 631 770倍の継続時間 ]
 1969年 それまで国際時報局(BIH)内の原子時計群を平均して決定していたものが、各国の原子時計の時刻を平均して決定するようになった
 1971年  第14回 CGMP
 [TAIは、国際単位系における時間の単位である秒の定義に従って、いくつかの機関で運転
されている原子時計の指示値に基づいて国際時報局が定める基準となる時刻の座標である
]
国際時報局 BIH (Bureau International de I'Heure, International Bureau of Time、 所在地:フランス)
 1980年  相対論を考慮して補強
 [TAIは、回転するジオイド上で実現されるSIの秒を目盛りの単位とした、地心座標系で定義
される座標時の目盛りである
]
 [TAI は UT1 の 1958年1月1日 00:00:00 を起点にしている]

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