Top > 技術情報メモ 目次 2010.5.30
 電圧標準、抵抗標準、キャパシタンス標準 
 ★  単位      電圧の一次標準  抵抗の一次標準  インピーダンス標準 
 ★  商品化されている電気標準装置および高確度計測機器 
 ★  標準電池 、  日本の電気標準の変遷  ウエストン標準電池 
 ★  標準抵抗     標準キャパシタ(標準コンデンサ) 
標準電池
 標準電池の歴史
  BC600年頃:ギリシャ  琥珀(こはく:化石化した樹脂)を毛皮でこすると麦わらを引きつけることが知られていた
1600年頃: William Gilbert  琥珀と磁石について研究し、「Electric」という単語を初めて使用した
1752年: Benjamin Franklin   雷と琥珀からのスパークが同じものであることを実証(凧の先に付けた鍵から彼の体へスパークがとんだ)
1786年: Luigi Galvani
(伊)
 蛙の脚の実験(金属のナイフで死んだ蛙の足に触ると激しくけいれんした)
   … 空中電気によるものと考えた
1792年: Alessandro Volta
(伊)
 Galvani の発見はナイフと蛙の足をおいた金属プレートの2種の異種金属の間に水分があることによるものであることを証明した
 これをもとに、最初の電池<ガルバニー電池>を作った 
   … 銅と亜鉛板の間に塩水に浸した紙を挟んで積層した電池(約1V) 
1800年:  さらに、電極板を多数積み上げて高い電圧を作るボルタ電堆(でんたいVoltaic Pile)を作る。
1836年: John Frederic Daniell
(英)
 ダニエル電池(DaniellCell、別名:gravity cell 又は crowfoot cell))を発明。
 銅と鉛の電極。1.1V。電池がより安全になった
1857年:    プランデ電池
1867年:    ルクランシェ電池(マンガン乾電池の原型)
1872年: Josiah Latimer Clark
(英)
 クラーク電池(Clark cell)を開発 … 1.434 V(15℃)。
 ガラス製の壺(wet-chemical cell)を用いた … (水銀(+)−電解液(硫酸亜鉛)−亜鉛(-))
1882年: Load Rayleigh  H型のガラス容器を用いて製作 … 1.4328V(@15℃)。
 欠点:温度係数が大、電極の腐食
1884年: Edward Weston
(英) 
 標準電池の開発を開始
1892年:  ウエストン標準電池が完成 … H型のガラス容器。1.01864V@20℃
    … (水銀(+)−電解液(硫化カドミウム)−カドミウムアマルガム(-))
(アマルガム (amalgam) … 水銀とほかの金属との合金。常温でも柔らかい糊状の固体となる)
1903年:    ウエストン標準電池が国際標準となる
1926年:    日本の電気試験所がウエストン標準電池を作る
 日本の電気標準の変遷:
 電流(銀分離器)と抵抗(水銀抵抗原器)により、国際電気単位が定められた
1948年    電圧(ウェストン電池)と抵抗(マンガニン抵抗器
1970年代  電圧(ウェストン電池)と抵抗(クロスキャパシタ
1990年    電圧(ジョセフソン効果電圧標準装置)と抵抗(量子ホール効果抵抗標準装置
銀分離器  1908-1948年:  銀ボルタメータ。銀メッキの原理
「硝酸銀溶液に電流を流し、1秒間に 0.001 118 00 g の銀を析出する直流電流を1Aとした。」
水銀抵抗原器 1850年:
1860年:
 1908-1948年:
 英国では1マイルの16番銅線を基準としていた。
 ジーメンスが長さ1mの水銀柱の抵抗を0.96Ωと提案
 水銀抵抗原器 ・・・ 断面1m2、長さ1063.00mで0°Cの水銀柱の抵抗を1オームとした。
 マンガニン抵抗器  1892年:
 1892-1893年:
1907年:
1923年:
 ウエストンが「マンガニン」を発明
 ドイツ国立物理学研究所PTRが1Ωの標準抵抗器を作る
 米国NBSが標準抵抗器を作る
 日本の電気試験所が標準抵抗器を作る
ウェストン電池 1800年:
1857年:
1867年:
1872年:
1884年:
1892年:
1903年:
1926年:
 ガルバニー電池 (ボルタ電堆)
 プランデ電池
 ルクランシェ電池(マンガン乾電池の原型)
 クラーク電池(Clarl cell)
 ウエストン(Weston)が標準電池の開発を開始
 ウエストン標準電池が完成 
 ウエストン標準電池が国際標準となる
 日本の電気試験所がウエストン標準電池を作る
ウエストン標準電池 (Weston Standard cell)
ウエストン標準電池(カドミウム標準電池) ・・・ 起電力の経年変化が小さい。雑音が小さい。起電力の再現性が良い
起電力の安定度   ・・・ 1μV/年以下。通常10μV/年以下
ウエストン標準電池の種類:
 飽和形電池  解液である硫酸カドミウム溶液に
 硫酸カドミウム結晶を過剰に加えたもの   
 安定度が優れている     
 温度係数が大きい
 不飽和形電池     安定度が悪い
 温度係数が小さい
    酸性型       電解液に硫酸を加え酸性にしたもの  
中性型  
    製品例:
   ・GUILDLINE 9152/4 STANDARD CELL ENCLOSURE
   ・横河電機 2749 標準電池
 標準電池の温度特性例 (不飽和形と飽和形の比較)
電気通信大学
電子工学科 実験工学研究室
Update - November 15, 2005 より
トップ アイコントップページへもどる  上ページへ
直線上に配置