Top > 技術情報メモ 目次 2012.8.3
電圧標準、抵抗標準、キャパシタンス標準
 ★  単位     ★  電圧の一次標準 、  抵抗の一次標準 、  インピーダンス標準 
 ★  商品化されている電気標準装置および高確度計測機器 
 ★  標準電池  日本の電気標準の変遷  ウエストン標準電池 
 ★  標準抵抗        標準キャパシタ(標準コンデンサ) 

単位
メートル法 18世紀末 フランスにおいて、世界で共通に使える統一された単位制度の確立を目指して制定された
1875年 メートル条約(convention do metre, 仏)が主要国間で締結される 
1885年(明治18年) 日本が条約に加入
1889年(明治22年) メートル原器の交付を受ける
1891年(明治24年) 度量衡法施行 ・・・ 尺貫法と併用する形で導入
1951年(昭和26年) 計量法施行 ・・・ メートル法の使用を義務付け
国際単位系 (SI)   ・・・・・ SI基本単位(次元的に独立した7つの単位を定める) … 一つの量に対して一つの単位に一本化する
1960年 国際度量衡総会 (CGPM) で使用が採択さる
1991年 日本工業規格 (JIS) が完全に国際単位系準拠となる。JIS Z 8203に規定されている
SIの語源:「」フランス語
「JIS Z 8203 (国際単位系(SI)及びその使い方)」
SI 基本単位は、以下の7つである。これらの単位は、次元的に独立している。 
基本単位 定義
名称 記号
電流 アンペア A 真空中に1メートルの間隔で平行に置いた、無限に小さい円形断面積を有する無限に長い2本の直線状導体のそれぞれを流れ、これらの導体の長さ1メートルごとに2*10^(-7)ニュートンの力を及ぼし合う不変の電流。
時間 s セシウム133原子の基底状態の2つの超微細準位(F=4,M=0およびF=3,M=0)間の遷移に対応する放射の周期の9 192 631 770倍の継続時間
長さ メートル m 1/299 792 458秒の時間に光が真空中を進む距離
質量 キログラム kg 国際キログラム原器(プラチナ90%、イリジウム10%からなる合金で直径・高さともに39mmの円柱)の質量
熱力学温度 ケルビン K 水の三重点の熱力学温度の1/273.16。温度間隔も同じ単位
物質量 モル mol 0.012kgの炭素12に含まれる原子と等しい数の構成要素を含む系の物質量。モルを使うときは、構成要素 (entites elementaires) が指定されなければならないが、それは原子、分子、イオン、電子、その他の粒子またはこの種の粒子の特定の集合体であってよい
光度 カンデラ cd 周波数 540×1012Hzの単色放射を放出し、所定方向の放射強度が1/683 W・sr-1である光源のその方向における光度
注:電流については、定義の方法では充分な精度が得られず、また安定した状態を維持することが困難であるため、電圧電気抵抗の値を実現することで電流の値の実現に代えている。
 SI   SI単位   基本単位(7個)
 補助単位(2個)
 組立単位       固有名称を持つ組立単位(17種)         
 その他の組立単位
 接頭語(16種)およびSI単位の10の整数乗倍
SI 補助単位
(基本単位を用いて組み立て単位を作る際に使用される単位)
固有の名称を持つSI 組み立て単位
補助単位
名称 記号
平面角 ラジアン rad
立体角 ステラジアン sr
名称 記号
電圧、電位 ボルト V
電気抵抗 オーム Ω
静電容量 ファラド F
インダクタンス ヘンリー H
電気量、電荷 クーロン C
磁束 ウェーバ Wb
名称 記号
周波数 ヘルツ Hz
コンダクタンス ジーメンス S
工率、電力 ワット W
磁束密度 テスラ T
エネルギー、仕事、熱量 ジュール J
ニュートン N
ほか    
初期の電気単位:
 ・電圧(1V) 
 ・抵抗(1Ω) 
 ・電流の絶対測定
 ・・・ ダニエル電池一個の電圧
 ・・・ 長さ1m、断面積1mmの水銀の抵抗
 ・・・ 電流天秤を使用、10-5 〜 10-6までが限界     
SI 基本単位をもとにした他の電磁気量の定義:
名称  記号  定義
電圧、電位 ボルト V  1Aの電流が流れる導体の2点間において消費される電力が1Wであるときの2点間の電圧
電気抵抗 オーム Ω  起電力の存在しない導体の2点間に1Vを加え電流が1A流れるときの2点間の電気抵抗
静電容量 ファラド F  1Cの電気量を充電したとき両極に1Vの電位差を生ずるコンデンサの静電容量
インダクタンス ヘンリー H  1A/sの割合で一様に変化する電流を通ずるとき1Vの起電力を生ずる閉回路のインダクタンス
   電気量、電荷     クーロン   C  1Aの不変電流により1秒間に流れる電気量
磁束 ウェーバ Wb  1回巻の回路を貫く磁束が一様に減少して1Vの起電力を生ずるとき1秒間に変化する磁束
磁束密度 テスラ T  磁束に垂直な面1m当たり1Wbの磁束密度

 電圧の一次標準 ・・・ ジョセフソン効果 (Josephson effect)
1mm程度の薄い絶縁層を挟んで2枚の超伝導体を弱く結合したものをジョセフソン接合と呼ぶ。これに電圧を印加すると電子は薄い絶縁層を量子力学的に通り抜けることができる。これをジョセフソン効果と呼ぶ。

ジョセフソン素子に周波数 f [GHz]の電磁波を照射したときに取り出される直流電圧(量子化電圧)Vは,次式で与えられる。
   V = n f ・(h/ 2e ) =  n f / K J-90
n:整数,f:電磁波の周波数,h:プランク定数,e:電気素量)
K J-90ジョセフソン定数 KJ の1990年協定値で K J-90= 483597.9 [GHz/V]と定義されている。
 抵抗の一次標準 ・・・ 量子ホール効果抵抗 (Quantized Hall Resistance : QRH)
高磁場,極低温下で半導体の示す量子化ホール抵抗RHは,
    RH(i) = RK-90 / i  [Ω]   の値をもつものとする。
i は整数,RK-90 はフォン・クリティング定数RK
1990年に協定値として,RK-90 = 25812.807 [Ω] と定義。

強磁場と超低温が必要なため連続運転はできない。
 インピーダンス標準
従来はクロスキャパシタにより実現していたが、近年は量子ホール効果抵抗を基点にした方法へと変わっている。
       クロスキャパシタ        量子ホール効果抵抗を基点にした方法
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