「はじめての真空管アンプ」誠文堂新光社   1999年11月11日発行より 2012.8
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カソードとフィラメント
 直熱管: フィラメント    ・・・  例:出力管では300B、2A3。整流管では5Z3
      ・加熱用電源に交流を用いた場合、電源周波数に一致する雑音が残る欠点がある
      ・増幅の際の直線性が良い
      ・フィラメントの材質  ・・・ 傍熱型と同じ酸化物陰極、またはトリウムタングステン製
      ・トリウムタングステン ・・・ フィラメント表面にトリウムの単原子層を生成。
                      主として送信管に用いられる。動作中は明るく輝く

 傍熱管: カソードとヒータ
     酸化物陰極
 (カソード):
・2層から構成される。
   ニッケル製の筒状または平板状のベースメタル
   バリウム・ストロンチウム・カルシウム酸化物層のコーティング
・動作温度:750〜800℃
・熱電子放射能力:0.5A/m2 (トリウムタングステンの場合:2A/m2
ヒーター: ・タングステン製で、絶縁のためのアルミナを被せたもの
プレートと2極管   プレートはアノードとも呼ぶ
     ・空間電荷制限領域:
・熱制限領域:
・パービアンス:
電流がプレート・カソード間電圧の3/2乗に比例する範囲
電圧を上げても電流が増えない領域:熱電子の供給上限の領域
3/2乗の領域の立ち上がりの良さを示す
3極管
     ・制御格子:
・グリッド・バイアス:
コントロールグリッド
制御格子にかけるマイナス電圧 …常にマイナス電圧がかかる様にする。
真空管の3定数
(1) 相互コンダクタンス:gm
     gm=ΔIb/ΔEc (単位:[S]シーメンス)  
    Ib:プレート電流
    Ec:グリッド電圧
通常は、1mSから12mS
  低gm真空管:2mS以下
  高gm真空管:10mS以上
(2) 増幅率:μ   多極管では大きすぎて意味がない(通常使われない)
     μ=ΔEb/ΔEc    3極管:3〜100  
低μ3極管:20以下
高μ3極管:40以上
(3) プレート抵抗:rp   ビーム管以外の多極管では一律100kΩ以上となり、意味がなくなる)
     rp=ΔEb/ΔIb   
   (単位:Ω) 
低rp3極管:5kΩ以下
高rp3極管:10kΩ以上
(4) 3定数の相互関係
     gm×rp=μ    多極管の場合:gmだけで用が足りる
実際の動作では定格の10%〜50%くらい異なる
 4極管
  遮蔽格子: スクリーングリッド: SGまたはG2  ... 正電圧をかける
ダイナトロン特性を有する
    プレートから出てきた2次電子がスクリーングリッドに流れ込む
    この結果、プレートからスクリーングリッドに電流が流れる
    このため4極管は実用性が薄い 
 5極管
  抑制格子: サプレッサー・グリッド
カソードと同じ電位を与える。ダイナトロン特性を押さえる
電圧増幅に用いた場合、100倍以上の高い増幅度が得られる
プレートとコントロールグリッド間の容量が小さく、50MHzくらいまでの高周波増幅に使用される
 ビーム4極管
  プレート電極内部にビーム形成電極を組み込む
コントロールグリッドとスクリーングリッドのピッチを合わせる
カソード−プレート間で電子密度の高い部分ができ、2次電子はこれに跳ね返される
SG電流は5極管に比べ大幅に減少
B電圧利用率は最も高い
大電流の取り扱いに適している。(TVの水平偏向出力管、オーディオ用出力間)
 ガス入り定電圧放電管
  希ガス類(アルゴンやネオン)を封じ込めたもの
電極構造: 中心に棒状のプレートがあり、それをパイプまたは円盤状のカソードが取り巻く
放電の開始から一杯に放電するまで電極間電圧が一定
75V,85V,90V,105V,150Vの5種が一般的
 ゲッター
  酸化物陰極を持つ真空管の場合、内部は10の−10乗Torr程度の高真空が必要
真空ポンプでは10の−5乗Torr程度しか得られない
残留ガスの吸着をゲッターで行う
金属バリウムと反応性物質を入れたゲッター容器から高周波加熱によりガラス外周器内面にバリウムを蒸着させる
ゲッターとして機能しているときは金属光沢を保っている、空気が入り水酸化物ができると透明や白に変わる
ジルコニウムゲッター: 送信管等でプレート温度が500℃以上になるもの。
               プレートに金属ジルコニウムを塗布。この場合、光ったゲッターは無い

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