HP 5061B の起動から定常運転までの手順:
     2ガウス以上の強力な磁界を発生する機器のそばに設置しないこと(例:大型モーター、発電機、大型トランス)
     オプション003の内蔵バッテリーはフル充電に約15時間を要する

1.準備(前面パネルの設定)      
      
 @ MODスイッチ OFF
 A MODEスイッチ LOOP OPEN
 B CIRCUIT CHECK SWITCH    ION PUMP I
 C OISC FREQUENCY X10 ) 25Oにセット 」
     (上部の表示「2」と下の回転ゲージのメモリ「50」で250)
          ※右横にロックレバーがあるので上に上げてロック解除の状態で行う事
2.電源プラグをセットしAC100Vコンセントに差し込む。
  ALARMの赤色LEDが点灯する。 (本機に電源スイッチは無い)
3.45分間以上ウオームアップ運転を行う。
  液晶時計のカウントは通電時0からスタートするので液晶時計が45分以上経過するのを待つ。
  コールドスタートでは45分間以上必要だが、ウオームスタートの時は短緒可能。
4.メーター指示値の確認
@ イオンポンプ電流 --- 長期放置していない場合は、0〜15以下に下がる。
  15以上を示している場合は、セシウムチューブ内部の真空度が低い事を意味する。
  この場合は、15以下になるまで24時間〜48時間そのまま経過を見る。
  イオンポンプ電流が15以下にならない場合は、セシウムチューブ内のイオンポンプが消耗したと考えられる。(修理不可能)
5.ビーム電流の調整 (内部基準発振器の周波数の調整)
@ CIRCUIT CHECK SWITCH --- BEAM I  にセット
A OSC FREQUENCY の COARSE 印の下の穴よりマイナスドライバーを差し込みしBEAM I が最大となるように調整する。
  中央の一次ピークとその両側に少し低い二次ピークがあるので中央の一次ピークを探してその最大にあわせる。 
  BEAM I のピーク値は「11〜14」辺りを示す。 ・OSC FREQUENCY
・COARSE
6.変調をかける
@ MODスイッチ --- 「ON」にセット
  この時、BEAM I のメータ表示値は少し下がる。
7.OPER(運用)モードにセットし、動作監視回路のリセット 
@ MODEスイッチ --- 「OPER」にセット
A LOGIC RESETスイッチを押す。
  ALARMのLEDが消灯し、CONTINUOUS OPERATION の緑色LEDが点灯する。
  点灯しない場合は、BEAM I の調整がうまく出来ていない。再度、6より再調整。

8..C-Field調整 
本操作は地磁気と設置場所付近の磁界の微小変化の補正を行うためのものであり、設置場所を変えた後に行う必要がある。
(1) 内部基準発振器の周波数の調整
@ CIRCUIT CHECK SWITCH を 「CONTROL」 にセット。
A メーター指示値が 「O」 になるように OSC FREQUENCY の COARSE を調整する。
    穴にマイナスドライバーを差し込んで調整する
・OSC FREQUENCY
・COARSE
(2)
         @ MODスイッチ OFF
 A MODEスイッチ LOOP OPEN
 B CIRCUIT CHECK SWITCH   BEAM I
(3) オーディオ発振器と周波数カウンターを接続する
@ ZEEMAN MOD INPUT にオーディオ発振器から 53.53kHz を加える。
A 発振器の発信周波数を上下1kHz振って BEAM I の3つのピーク点を確認する。
B 発振器の発信周波数を中央のピークの中心に正確に合わせその周波数をカウンターで確認する。
   53.53kHz±100Hzにあれば調整不要。
(Zeman周波数の100HzのズレはHP5061Bの出力周波数の1X10-12のズレをまねく。)
C 発振器の発信周波数を 53.53kHz ±50Hz にセットする。
D 発振器の出力をゼロから徐々に上げ BEAM I の最大値に合わせる。
   (この時の出力レベルは+0.5Vrms(@50Ω)程度となる)
E C-FIELD調整つまみを回して BEAM I の最大値に合わせる。 ・C-FIELD
         @ MODスイッチ ON
 A MODEスイッチ   OPER
   ALARMのLEDが消灯するのを待って、LOGIC RESET スイッチを押す。
   CONTINUOUS OPERATION の緑色LEDが点灯する。

最初の数日はCIRCUIT CHECKメーターの各値を確認・調整する。(定常運用時にも、1ケ月に1回はチェックすること)
  スイッチ位置 許容値 調整箇所 調整値
2ND HARMONIC 30〜50 ・BEAM I 
・LOOP GAIN
40 に合わせる
CONTROL -30〜+30 OSC FREQUENCY
COARSE
0 に合わせる
BEAM I 20(標準) ・BEAM I 
・LOOP GAIN
20 合わせる
(MOD ONにて)
(1) 2ND HARMONIC
      @ CIRCUIT CHECK SWITCH を 「2ND HARMONIC」 にセット。
A メーター指示値が40になるように LOOP GAIN の穴よりマイナスドライバーを差し込み調整する。
(2) CONTROL
@ CIRCUIT CHECK SWITCH を 「CONTROL」 にセット。
A メーター指示値が 「O」 になるように OSC FREQUENCY の]10ツマミで調整。
     ※右上にロックがありますので上方に倒してロックを解除して換作する。
  メーターが+方向にあるとき → ]10つまみを右(時計回り)に回す。
  メーターが−方向にあるとき → ]10つまみを左(反時計回り)に回す。
(3) @項、A項を繰り返して、2NDHARMONIC の値が40でCONTROLの値がゼロになるまで繰り返す。
・BEAM I 
・LOOP GAIN
・OSC FREQUENCY

    MODEスイッチの機能
MODEスイッチ 動作
CS OFF  Csチューブのイオンポンプ以外の電源OFF。 水晶発振器のみ動作
 HP 5061Bを保管する場合、6ヶ月に1度以上このモードで電源コードを電源に接続し、
 イオンポンプを動作させCsチュ−ブ内の高真空を維持すること
 LOOP OPEN   すべての回路が動作。 ただし、周波数サーボループはオープン状態
OPER  通常運転モード(時定数:1秒)
LTC  長時定数(60秒)モード。室温の安定した環境でのみ使用可能。
    CIRCUIT CHECK スイッチとメーター指示値
スイッチ位置 正常値 指示内容
BATTERY 35〜40  オプション003:内蔵バッテリーの電圧
SUPPLY 35〜45  安定化電源回路出力の+18.7V
ION POUMP I 0〜15  イオンポンプ電流値。CSチューブ内の真空度を示す。
 30-40μA以上の時は安全回路が働いてCSチューブへの電源は供給されない。
OSC OVEN 20〜45
周囲温度による
 水晶発振器のオーブン電圧
CS OVEN 5〜35
周囲温度による
 CSチューブのオーブン電圧
5 MHz 35〜45
(無負荷時)
 5MHz信号の出力レベル
MULT 35〜45  A4高調波発生ユニット内ステップリカバリダイオードのバイアス電圧
BEAM I 20
(標準)
 CSチューブの直流ビーム電流。単位はnA。
 CSチューブの寿命とループゲインの調整により変わる
CONTROL 0  水晶発振器の発信周波数制御電圧
 2ND HARMONIC 40  二次高調波のレベル
    調整ポイント
調整箇所 指示内容
LOOP GAIN  周波数サーボループのゲイン調整用
BEAM I   ビーム電流と二次高調波のレベル調整用
 OSC FREQUENCY 
COARSE
 5061Bの制御電圧を水晶発振器の発振範囲の中央に設定するためのもの
OSC FREQUENCY
x10-10 (FINE)
 これは内部調整用であり、通常運用中は常に250に設定しておくこと
C-FIELD  C磁場の調整を行い出力周波数の微調整を行うためのもの
    設定分解能: 8X10-14/最小メモリ